風雪に 耐える岬の 寒立馬
朝からあいにくの空模様だからいっそのこと尻屋崎へドライブすることにした。
太平洋の荒波に浮かぶ灯台から海の死者に黙礼し、力強い寒立馬の走る姿に感動して、冷えきった体を野花菖蒲の里の温泉で癒し、東通そばで胃袋を満たそうという旅程である。
途中、岩屋のウィンドファームに林立する風車が「レッドクリフ」の曹操軍の戦士のように迫ってくる。日鉄鉱業の作業場が見えてくる頃、津軽海峡から吹き付ける風が横殴りに潮を巻き上げ、波間に浮かぶケーソンが傾いて見える。
冬期閉鎖直前のゲートを抜けて岬へ向かう。息が苦しくなるほどに小雪が積もる暇も無くすっ飛んでいく最果ての岬は、人影もなく、白い巨人の灯台だけが難破岬の沖合いをじっと見つめている。かもめの一羽の飛来も許さない。
下北かるたの看板は確か寒立馬が冬越しをするアタカにある。ひっそりと立つ看板は見つけたが寒立馬の姿は見えない。いったいどこに居るんだろう?
岩礁が見え隠れする海岸線に2,3メートルほどの白波が強風に潮煙をたなびかせている。良く観ると、3人のサーファーがロングボードに興じている。しばし彼らの勇気と若気の挑戦を観賞する。
波打ち際には茶色の昆布がたくさん打ち寄せている。ところどころに貝や海草の採取禁止の看板が設置されている。見回りのおじさんの軽トラが時々行きかう。
体も十分冷え、お腹も空いてきたので帰ることにする。ゲートを出て尻屋の部落へ向かう道を進むと、お目当ての寒立馬が居るのではないか。厳寒の草原でしっかりと草を食んでいる。近づいていくと、草を食む動作を止めずチラチラとこちらを警戒している様子。これ以上の接近は、相手の望まざるところらしい。白や茶や黒、そしてぶちの馬もじっと風を避けて木陰にたたずみ、走り回るようなサービスは望めそうもない。さて、そろそろジュラ紀の温泉へ直行だ・・・
野花菖蒲の里は、茶色の透明なお湯が肌にやさしい、湯船から庭を楽しめる村の温泉施設である。
食堂で食べた東通そば(かけそば)は、野牛産ということで、のど越しが良く変な飾り気が無い。
温泉で体も胃袋も満足した後、ボンサーブへ立ち寄る。品川ナンバーのBMWが停まっている。6月に海上自衛隊大湊地方総監部へ赴任したばかりとのこと。ついつい「大湊海軍コロッケ」の話しを向けると良くご存知で、B級グルメには詳しそう。前任地は所沢で横須賀にも在籍していたという見目麗しいで女性自衛官である。ソフトクリームを頬張りながら、突然話しかける無礼を心からお詫びします。
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